(2008.3.7.更新)
サクラギヘアプレイズPresents酒らぎ倶楽部第4回日本酒スーパーライヴ
『潮風と“海の男酒”の物語』~All 壽 Special~
あいにくの小雨模様の中、子供一人を含む総勢19人のてんでバラバラな集団が、
JR浪江駅入口付近にたむろし、送迎バスを今か今かと待っていた。
ワールドカップ・ドイツ弾丸ツアー?新手の新興宗教集団(ある意味そうかもしれないが・・・)?
いや違う。酒らぎ倶楽部「第4回日本酒スーパーライヴ」に参加するため集まってきてくれた物好きな、
じゃなかった酒好きな御一行である。
少し遅れてきたバスに乗り込み、“日本で一番海に近い酒蔵”へ向けていざ出発!
参加者の大きな期待が充満するバス内、主催者のしどろもどろな挨拶など誰も聞いてはいない。
心はもう酒の海へと羽ばたいているのだ。
間もなくバスは浪江町請戸にある『磐城壽』醸造元「㈱鈴木酒造店」に到着。
門から玄関へと続く小道の両側は古い建物で、昭和初期にタイムスリップしたかのようだ。
霧がかって肌寒い。建物の影に何かが潜んで、こちらを伺っているようなそんな気配すら感じる。
そんな神妙な顔つきの一行を出迎えてくれたのは、鈴木酒造店の若き杜氏:鈴木大介氏と奥様であった。
大介さんから早速、蔵の説明を受ける。
仕込みに使用される水は全て、蔵内の井戸でまかなっているとの事。
請戸川の伏流水であるこの井戸水は、海には近いが塩辛くなるということもなく、
かえって豊富に含まれるミネラル分などにより発酵が良い具合に進むそうだ。
「壽」独特のトロっとした飲み口はこの水によるところが大きい。
一行がまず向かったのは精米所。
精米を外部に委託する蔵が多い中、鈴木酒造では独自に大型精米機を導入し、
原料に合わせた精米を行っているとの事。この仕事は大介さんの弟:鈴木荘司さんが担当。
米の状態はもちろんのこと、その日の湿度・気圧により細かく精米のパーセンテージを変えているそうだ。
割れたりしないよう細心の注意を払い、その作業は丸二日程もかかるのだという。
丸くきれいな粒状に精米された米を見せてもらった。
酒造りにおいて一番重要なポイントであることが分かった。
一行は蔵の母屋へ移動、すごく大きな釜が我々の目に飛び込んできた。
風呂にしたら何人の大人が入れるだろうか?
・・・くだらないことを考えてしまったと思いつつ、洗米と釜炊きの説明を受ける。
ここからはスリッパに履き替え中へ。
麹の香りがうっすらと漂っていた。薄暗くヒンヤリとしている。
酒造りは基本的に秋~冬の仕事ということで、案内された麹室はきれいに片付けられていた。
大介さんの話を聞きながら、職人さんたちの仕事に思いを馳せる。
蔵の奥には仕込み用と貯蔵用のタンクが並んでいた。
『3月下旬頃また来てみてください。その時は”もろみ”をお見せしますよ』
おぉ~っ!是非是非!! 搾りたての酒も飲んでみてぇ~なぁ~、
とゲンキンなことを考えてしまったのはきっと僕だけじゃないでしょう(苦笑)
蔵の敷地を出ると、請戸の漁港市場と海がすぐそこだった。たくさんの漁船が停泊している。
酒らぎ倶楽部一行は海風に吹かれながら、懇親会会場である「海船亭」に向かった。
歩いて5分ほどの距離だ。肌寒い日であったが、これが幸い『日本酒日和』となった。
請戸漁港を見下ろす宴会場にて、お待ちかねの『日本酒スーパーライヴ!2006』が始まった。
お互い知らない人同士で最初はシーンとしていたが、乾杯が始まると一気に場が和んでいった。
今回用意された日本酒は次の6種類。
☆磐城壽純米酒生酒(17BY 請戸産/夢の香・チヨニシキ)
☆稲穂の雫特別純米酒(17BY 秋田産/電子米あきたこまち)
☆磐城壽純米酒(16BY 請戸産/夢の香・チヨニシキ)
☆土耕ん醸山廃仕込純米原酒(16BY 請戸産/夢の香・チヨニシキ)
☆磐城壽中吟醸 夢酵母版(17BYプロト大熊産/無農薬栽培 夢の香)
☆吟テージ 2004 山田錦45(16BY 兵庫産/山田錦)
全て ㈱鈴木酒造店(浪江町請戸)醸造
これに“隠し酒”として、鈴木さんのご好意で、まだ出荷前だという『吟テージ 2005』が加わった。
順番にそれぞれのぐい飲みに酒が注がれていく。
芯は同じ「壽」の味ながら、米の違い・精米の違い・造りの違いで、味や飲み口が変わっていくのが分かった。
「おぉ~」「んー!」「へぇ~」反応は様々だが、みんなの表情は一様にニコニコしている。
もう顔を赤らめている人もいた。
「ホント、お世辞じゃなくマジでウマいっすね~、地元にこんな酒あるの知らなかったなぁ」
こんな話が若い人の口から聞けると、主催した者としてはすごく嬉しい気分である!
話も弾んでいるところであったがお開き。一行は、まだ名残惜しそうであった。
お土産に東京限定のカップ酒まで頂いた。
もうすでにこの辺りから私の記憶もぼんやりとし、フラフラで会をまとめる状況ではなくなっていた。
(ダメな主催者・・・涙)バスに乗り、浪江駅で皆を見送った。
『日本酒の会』は“ライヴ”だ。
渾身の作品を生み出した造り手と、それを味わう飲み手、それが整えられた舞台上で合間見える。
造り手の情熱を感じ、飲み手は感嘆の声を上げる。
そして紡ぎだされる至高のひととき。
皆が出演者であり、観客なのだ。
僕は舞台下で段取りをする単なるアシスタントに過ぎない。
酒らぎ倶楽部 代表幹事 但野功一